丁寧すぎる時計
2018.12
ものすごく丁寧に現在時刻を教えてくれるアプリ
概要
「丁寧すぎる時計」は、懇切丁寧に現在時刻を教えてくれるAlexaスキルです。
試したこと
- 黎明期向けのコンテンツ
「丁寧すぎる時計」は黎明期向けのコンテンツの習作として制作しました。
まず、iPhoneの黎明期に大ヒットした「iBeer」を分析し、
- 黎明期にそのデバイスを持っているユーザーはアーリーアダプターである
- アーリーアダプターはそのデバイスを持っていない人に自慢したい気持ちがある
- 自慢される側は未知のものを見ることになるので、シンプルで分かりやすいコンテンツでないと自慢が成立しない
と、「自慢しやすさ」を黎明期向けコンテンツに必要な要素と考えることからスタートしました。
そして、スマートスピーカーの最大の特徴を、
- 音声で命令できる
- 音声で返答がある
と、捉え、
- わかりやすさ(わかりやすくないと伝わらない)
- めずらしさ(めずらしくないと自慢できない)
の2軸で「命令と返答のセット」を考えました。
結果として、
- 時刻を聞いたら教えてくれる(わかりやすい)
- 時刻を教えてくれるまでが異常に長い(めずらしい)
の2軸を試作したものが「丁寧すぎる時計」です。
考えたこと
- 日本の文化
バイリンガルな同僚とビジネスメールをやりとりしているときに気づいたのですが、内容が同じでも日本語と英語では、メールの長さが全然違います。
日本語には漢字があるので、1文字で表現できる情報はアルファベットよりも多いはずなのに何故だ。と思ったのですが、文化的に要件に対し「いつもお世話になっております」とか「以上、何卒よろしくお願いいたします」とか、畏まった文章を追加する必要があるため、英語より長文になっていることに気がつきました。
これは素晴らしい文化であると同時に、要件だけを最速で知りたいときにはノイズになり得るなと感じました。
本来、
「明日の集合時間を教えてください」
「13時です」
で済むところが、
「〇〇社 △△様 いつもお世話に合っております、××社の◻︎◻︎でございます。明日の集合時刻について確認させて頂きたくご連絡差し上げました。明日は何時集合だったでしょうか。予定通り進行できるように、確認させていただきたく存じます。何か質問や特別な配慮が必要な場合がございましたら、併せてお知らせください。引き続き、よろしくお願いいたします。」
「××社 ◻︎◻︎様 いつもお世話に合っております、〇〇社 △△でございます。ご連絡ありがとうございます。明日の集合時間の件ですが、13時を予定しております。お時間に遅れないようご注意ください。何か質問や追加情報が必要な場合は、どうぞご連絡ください。明日お会いできることを楽しみにしております。引き続き、よろしくお願いいたします。」
というように、すごく長くなるな。と。
特に音声で伝える場合、本題の前にあれこれ不要な情報を追加するのはクリティカルな欠陥になりえます。確認できるようになるまでの時間が伸びてしまうので。
クリティカルな欠陥ゆえにユニークな体験になる可能性があるな。と。そんなことを考えながら、返答がすこぶる長いAlexaスキルを作ってみました。
裏技
実は「現在時刻を急いで教えて」など、Alexaを急かすと、いつもとちょっと違う返答が返ってくるという隠し機能が実装されています。