音楽家(ミュージックハウス)
2020.6
音楽 + 家
概要
「音楽家」は家の中で発生する生活音を、自分好みの音に差し替えることを目指したプロトタイプ群です。M5StackやMESHを使って実現しました。
試したこと
- 環境音の拡張
元来、動作に紐づいた動作音は、動作から発生する振動に依存しています。
例えば、古き良き目覚まし時計は、物理的にベルを叩いていたため、その振動が動作音となっていました。
しかし、現在の目覚まし時計はスピーカーを搭載しているため、好きな音を流すことができます。
「音楽家」ではこれをヒントに、日常生活で発生する振動をセンサでキャッチして、それに応じた動作音をスマートスピーカーから再生する仕組みを作ってみました。
現実世界をセンシングし、その状況に応じたデジタルコンテンツを合成するという点では、デジタル音を使ったARと捉えることもできる気がしています。
換気の歌
換気扇を回すと歓喜の歌が流れます。
運命の扉
ドアが開くと運命が流れます。
ベントーヴェン
リュックが開くとピアノ協奏曲5番が流れます。
電子印鑑
印鑑を押すとデジタル音が流れます。
ジェットバズーカ
殺虫剤を振るとエネルギーが溜まる音が、発射すると発射音が流れます。
考えたこと
- 動作と切り離された動作音
目覚まし時計の例がまさにそうなのですが、スピーカーの登場で、動作と動作音を切り離して考えることができるようになったことは非常に興味深いです。
例えば、楽器にもその影響が顕著に表れていて、古き良きピアノは叩いた弦の長さに応じた振動を発する楽器だったのですが、現代のキーボードは、ボタンに応じた音をスピーカーから発する楽器となっています。つまり、鍵盤を叩くという動作は互換性のために残っていますが、もはやその必然性はないとも捉えられるわけです。
動作と動作音を切り離すことができれば、インターフェイスの自由度は飛躍的に上がるので、そう考えると家自体を楽器にしてしまうことも難しくはないと考えています。
裏話
換気の歌の動画をGIFアニメにする際に横幅が足りなかったため、右半分をAIで生成してみました。
配管パイプに違和感がありますが、AI感があって趣があるかなと思い、そのまま採用しています。
作ったもの
- 回した時に音楽が流れる換気扇
- 開けた時に運命が流れるドア
- 開けた時にピアノ協奏曲5番が流れるリュック
- 押した時にデジタル音が流れる印鑑
- 強そうな発射音が流れる殺虫剤